進路を決めること


進路を決めなきゃいけない、
というのは学生の宿命です。

今これを読んでる人の中にも、
何が向いてるんだろうなあとか、
何がしたいんだろうなあとかって
考えてる人もいるはず。

中学から高校は、
多くの人にとっては初めての受験です。
でも普通科に進む人が多いよね。
何をするかというより、
どの学校にするかっていう悩みが多いかなと思います。

だからこのページは、
基本、高校生向けに書きます。


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幼稚園に通う園児たちに
将来何になりたいかを聞くと

「おはなやさーん!」とか
「しょうぼうしー!」とか
「ぱんやさーん!」とか
「れじのひとー!」とか言ったりするよね。

(いいとか悪いとかじゃなくて)
なんか、かたよってます。

中学生や高校生に聞くと
こういう答えの集合にはならないよね。

じゃあ、幼稚園児たちの答えは、
どうしてこういう集合になるんだろう。

ちょっと考えてみてください。


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どうしてか、
という答えを聞いたことはないけど、
僕なりの答えはあります。

それは「知ってる職業が少ないから」です。

幼稚園児で「公認会計士」とか
知ってる人あんまりいないもんね。
知らないと、将来の夢の候補には入らない。

だから幼稚園児のなりたいものには、
目につく職業とか、目立つ職業が多いんだと思います。

で、多かれ少なかれ、
僕らも変わりません。


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今自分たちが知っている職業より、
知らない職業の方が圧倒的に多いです。

幼稚園児が「パン屋さんになりたい」と
言っているのはかなりかわいい。
かなりかわいいけど、そのまま職業が決定されちゃうとしたら、
ちょっと待って!って思うよね。
他にもたっくさんあるんだよ!って。

今知ってる職業の中だけで考えるのもいいけど、
今知らない職業の中にすごく合ってるのがあるかもしれないしね。

この世に職業が10個しかないとしたら、
たぶんあまり悩みません。
職業を知ると選択肢が増えます。
選択肢が増えると、悩む時間も増えます。
だけど、その専門の学校や仕事についた後で、
え!そういう職業もあったの?
って思うよりはいいかなって思うんだよね。

学校の進路指導室(あまり行かないかもしれないけど)に、
職業一覧の本や、大学・専門の学科一覧みたいな本があります。
まずはそれをバーっと見て、こういうのがあるのかーって思ってほしいな。

進路を決めるって、初めて、
「他の人と自分って違うんだ」って思う作業でもあります。
その職業一覧や学科一覧を見ながら、
自分はこういうのが好きなのかーとか、
色々な気づきがあるだろうと思います。

不思議なんだけどね、
嫌なことの方がわかりやすいんです。
こういう仕事は絶対就きたくない!とか、
こういう学科は絶対行きたくない!とかね。

そういうふうに思ってもいいです。
そしたらその職業の人って、
自分とは違ってすごいなーとか思えるしさ。

職業一覧(wikipedia)
好きで調べる(13才のハローワーク公式サイト)


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とりあえずは職業を知るだけでいいです。
いいんだけど、「知る」には「深さ」がある、
というのも分かっておいてください。

例えば、
中学生で「高校の先生になりたい」
と言う人はあまりいません。

「高校の先生」という職業は知っているはずだよね。
だけど実体としては出会ってないからです。

名前を知ってるだけで、
その全体を知ってるような気がしちゃうのには、
気をつけていたいです。

その全体を知れば、
全然興味なかった職業に「なりたい」
と思うかもしれません。

NHK「プロフェッショナル」は、
そういう点でもかなりおもしろいです。
深夜に再放送とかもしてるので、
録画してほしいなー。


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最終章です。

今から10年後、5年後でいいや、
今から5年後、自分が「本当に」何をしてるかなんて
誰にもわからないんです。
他の人にも、自分にも、誰にも分からない。

 先生になりたくて教育学部入ったのに、
 全く違う仕事に就いたりしてるかもしれない。

 他のことがしたくて大学に入ったのに、
 先生になりたくなって再入学してるかもしれない。

 卒業旅行で行った外国に惹かれて、
 そこに住むことを決めるかもしれない。

誰にだって分かんないんです。
だって5年前の自分が今の高校に入ることとか、
今の友達がいたりしてるのだって、
全く想像できなかったんじゃないかな。

これからはもっともっと選択肢があるんです。
人との出会いも多くなります。
本当に何をしてるかなんてやっぱわかんないよ。
もちろん、初志貫徹(最初に思ったことをつらぬくこと)
してるかもしれないし。わかんないです。

でも、わかんないってことは、
何を頼りに進路を考えればいいんだろう。


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それは「今」です。
今考えることしか、参考にできないということ。

5年後、いや3年後だって、
何考えて、何してるかなんて想像できないんだもん。
その転機は、もしかしたら明日かもしれないし。

だから、未来のことばかり考えてたら、
フワフワしてしまうということです。

参考にできるのは「今」だけ。
今、何がしたいか、何になりたいかしかないんです。
未来の自分とか、友達の意見とか、
そういうの一回無視して、考えてみてください。

で、今の自分をなるべく強化するために、
職業を知るっていう作業をしようね、
という話だったんです。


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20歳よりも上の知り合いがいたら(いた方がいいです)
「5年前、今の自分って想像できてた?」って
聞いてみるのがいいと思います。

たぶんほとんどの人が「全く!」って
言うんじゃないかなあ。

僕だって、1年前でさえ、
この勉強できようサイトを作るなんて
全く考えてませんでした。

質問すると、今の職業が、
昔なりたかった職業じゃない人も結構います。

なりたかった職業じゃなくても、
一生懸命働けるんだって思えたら、
選択することが、今より少しは、怖くなくなるんじゃないかな。


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最終章の最終章。

「まっすぐ」とか「諦めない」とか
「曲げない」とか「突き進め」とか、
こういう言葉は世の中にとても多いです。
日本の風土なのかわからないけど。

さっき「5年後何してるかなんてわからない」って言ったよね。
今の気持ちを参考にして、一生懸命選ぶんです。進路を。
だけど、5年後の自分が本当に何を「したいか」なんてわからない。

「今」と「5年後の今」は違います。
もしかしたらやりたいことも合ってることも、変わってるかもしれない。

最初に決めたことを曲げないで進むのもえらいです。
でもそれと同じくらい、
最初に決めたことを曲げることだって立派な選択です。

経済学で「サンクコスト バイアス」って言うんだけど、
NHKEテレ オイコノミア「あきらめない経済学」より)
今まで費やしてきたものに縛られてしまう、というのがあるんです。
今まで費やしてきたもの=もう返ってこないもの、なのに。
「大学4年間勉強してきたんだから」とか、
「ずっとこのために準備してきたんだし」とか、
「お金もかなり使ってきたのに」とかです。

でも、そのときの自分と、
今の自分は違うということ。

変えちゃいけないなんてことはないんです。
変えても、いいんです。
(変えなくても、いいということ)

「決定事項は変更可能」なんだということは、
頭に置いておいてほしいなと思います。


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進路を決めるのは大変です。
でも、それですべてが決まるわけでもない。
後で考え直すことも、不可能ではありません。

でも。
大きな決断といえばそうです。

今の自分で、
なるべくがんばってみようね。


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by dekiyosite | 2015-08-26 22:40 | 雑談