本を読む理由



前ページ(作文・読書感想文のコツ)では
作文が苦手なひとのための「書く」コツについて話しました。

「どう」書けばいいかという本は結構あります。
だけど、そもそも作文が苦手な人は「どう」書くかよりも、
「何」を書いたらいいのかがわかんないんだよね。

だから前のページでは
「何」を書けばつまらなくはなくなるかという点に絞って、
なるべく難しくならないように話してきました。


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そのページでも話したけど、
読書感想文には「書く」前に「読む」があります。
本を読まない人には、これもやっかいです。

学校の先生とか、
本を読んだほうがいいよっていうけど、
ほんとなのかね。

本好きな人はみんな、
本は楽しいっていうけど、
ほんとなのかな。

実は僕も、
本を読む習慣がほとんどありませんでした。
本は自分のためになるぞって言われても、
うさんくさいと思っていたし。

だからこのページでは僕の経験談から、
僕が感じた本を読む理由を話していきます。

さらに次のページでは、
本の選び方を(単行本や文庫とか新書とかの違いも)書きます。
ゆるゆるといきましょ。


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僕もね、本をほとんど読みませんでした。
マンガ以外は1年に1冊読むか読まないかでした。

本が嫌い!っていうわけじゃなかったんです。
だけど本って読書感想文とか書かされるし、
なんか頭のいい人が読んでるイメージがあるし、
高尚な(こうしょう:上品なこと)お遊びって感じていたんだよね。
一般市民の自分には読書なんてとてもとても。って思ってた。
必要かどうかすらも考えませんでした。

(今思えば家族に本を読む人がいなかったのも理由かもしれません。
 身近にいないから、高尚だと思っていたのかも)

本を読むようになったのは20歳を過ぎてからでした。


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そのきっかけの日の話です。
友達と映画を観に行ったときに、
「映画が始まるまでの時間本屋に寄りたい」
って言われて。

「この前お薦めされた作家の本がすごく面白かったから
 他の小説買いたいんだ。
 16ピエロっていうのが面白いらしいんだけど」

「へーそうなんだ」と会話をしながら、
同じ建物の中にあった、ちょっと大きくて、
ちょっと暗めの本屋に行きました。

友達が以前紹介されていた本は
伊坂幸太郎さん、という作家の小説でした。
僕が「16ピエロ」だと思っていたタイトルは、
「重力ピエロ」の聞き間違いでした。

その本を買っただけで(まだ読んでないのに)
友達がすげえうれしそうにしてて。
(前に読んだ本そんなに面白かったのかよ)
って僕は少し気になっていました。

後日、僕は一人で近所の本屋に寄りました。
「いさか・・こうたろう・・」と思いながらね。
文庫コーナーに行くと伊坂幸太郎コーナーみたいなのもあって、
結構人気の作家なんだなーと知りました。

素直にこの前の本を手に取ればいいのに、
素直じゃないので、表紙がかわいかった
チルドレン」という文庫本を買いました。

文庫本を買うこと自体がそれまでほとんどなかったから、
たぶん、家に帰ってから本を開くのも、
そんなに気乗りしてなかったと思います。
本って難しいんでしょー?みたいな感じが、
たぶん、残っていました。

たぶん、って書いてるのはね、
そのときの気持ちをもう忘れちゃったからです。
チルドレンが、超おもしろかったから。
本の冒頭ですでに銀行強盗の人質になってる主人公。
隣にいた、同じ人質の盲目の少年。
え、わ、え、あ、の連続。

止まらないってこういうことなんだ!って知りました。
次の短編で「家裁調査官」が出てきて、
あ、ちょっと難しいかもって一瞬ひるんだけど、
でも一瞬でした。すぐにおもしろくなった。

それから伊坂幸太郎さんの文庫を、
買っては読み、買っては読み、をくり返しました。
(文庫はちょっと安いからね)

それまで、満員電車なのに本を読んでる人を、
「嘘じゃん!」と思っていました。
なんでそこまでして読むんだよ!って心の中でツッコんでました。
だけど気付いたら自分もしてた。
当たり前なんだよね。おもしろいんだから。
テレビのドラマは次回まで1週間待たされるけど、
本は、続きがカバンの中に入ってるんだもん。
そりゃあ読みます。気になるもん。

そして「みんなずるい」と思った。
こんなおもしろいこと、みんな内緒にしてたんだって。
満員電車に乗りながら、他の世界にトリップしてたんだって。
そんなおもしろいことしてたなんてずるいって、結構何度も思いました。
電車には音楽を聞きながら乗ったりしてたけど、
それとはぜんぜん違う種類の楽しさだったんだもん。

しかもさ、ときどき、
ハードカバー(大きくて重めの本)読んでる人もいるでしょ。
あれこそ「絶対嘘じゃん!」って思ってたのに、
文庫を全部読んだ後、自分も同じようにしてたもんね。
(ハードカバー(単行本)は重くてちょっと高い)
おもしろさに、満員電車は勝てないんだなーって。

それまでの僕の本に対するイメージは、
読書感想文を書かされたり、
自分のためになるぞって言われたり、
映画とかとは違って自分で想像するのがいいんだよ、
って言われたりするものでした。
なんか、「何かのため」にするものっていうイメージだった。

だったんだけど、なーんだ。
おもしろいから読むだけなんじゃん。
って、そのころ、ものすごーく実感していました。

なーんだ。
おもしろいからなんじゃん。


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これが僕の感じた、本を読む理由です。
そりゃあ自分のためにもなります。
なるけど、でもそんなのは二の次。
何かを得ようと思いながら何かに近づくと、たいていは失敗します。

(こいつ便利そうだから利用してやろう、と思って
 近づいてくる人がいたら、やだもんね)

おもしろいんだったらテレビとか映画でもいいじゃん。
マンガでもいいじゃんって思うと思うけどね。
だけど、そういうことを言う人はだいたい、
「やったことがない人」だというのは覚えておいてください。
例えば。

「ライブなんていかなくてもいいでしょ。
 どうせDVDになるんだし。
 お金も高いし、どうせ遠くからしか見れないんだから。
 DVDならいつでも、何度でも観れるんだから。
 映像もアップだし、お得でしょ」

と言う人は、ライブに行ってない人が多いです。
ライブに何度も行く人は、
DVDとは違うおもしろさを知ってしまったから、また行くだけです。

本も、マンガも、映画も、舞台も、ドラマも、
ラジオも、CDもDVDも、ライブも、
それぞれに違うおもしろさがあるんだよね。
それはやってみないとわからないよ。
やらないでおもしろさを知ろうなんて甘すぎです。

(他の例えだと、キャンプ行かない人ほど、
 外で飯食う理由ってあるの?とか
 虫がいるのいやじゃん、とか
 トイレ汚いのやだもん、とか言うよね。
 キャンプが好きな人はそんなことわかってて、
 でもそれ以上の楽しみを知ってしまったからまた行くんだよね)

子供に本を読んでほしいと思ってるお父さんやお母さんは、
まず自分がめっちゃ読書するといいですよたぶん。
すっごくおもしろそうに、
少しのすきま時間でも本を読んでたら、
本について気にならないほうが変だと思います。



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本は自分で見つけた方がずっとおもしろいです。
一応次のページで本の選び方について話すけどね。
とにかくおもしろそうなのを選んでみてほしいです。
やってみないとわからない。やってみてもわからないかもしれない。
だけど、やってみたら、ものすごくハマるかもしれないよ。

最後に、僕の話だけじゃなくて、
他の人が本について話している動画を紹介します。



飛行機やロケットの仕事をするのが夢だった植松さん。
中学の先生に「どーせ無理」と言われて、ひどく傷つきます。
そこからどうしていったかの話です。
本の話は冒頭にしか出てこないんだけどね。
とってもいいからおすそわけです。



「積極的に」とか「アクティブに」というのがよく評価される世の中です。
それに比べて、「聞く」という行為は軽く見られてる風潮があります。
じゃあ「聞く」ってなんで必要なんだろう。
どうやって聞いたらいいんだろうという話をされています。
さらに「聞く」から「読む」話に。
なぜ本を読むのか、読書は必要なのか。
本の話は1時間2分過ぎからされているので、
そこから見るのもいいと思います。
ちょっと長いし、ちょっと難しいかもしれない。
最初はあまり頑張らずに気楽に聞いてみるのがいいかもしれません。
聞くたびに感想が変わる動画だと思います。


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本っておもしろいのかーって、
ちょっと興味を持ってくれたらうれしいです。
本は自分で選んでみてほしいけど、
本を読まなかった人には本屋のどこを見ればいいのかとかも難しいよね。
そのせいでせっかくの興味がなくなるのはもったいないので、
基本的なことも含めて次のページに書いてます。どうぞ!






by dekiyosite | 2015-08-09 04:21 | 雑談