空気を読むことって?(音読と運動会)

最終更新:2022年7月11日

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日本人特有なのかそうじゃないのか分からないけど、頑張ってる人を馬鹿にする風潮(ふうちょう)っていうのがあるよね。

学校での例もあります。
英語の授業での音読をみんながカタカナ読みをしているときにネイティブ(英語が母語の人)みたいに話そうとしたら笑われたり。
音楽の授業でみんながボソボソ歌ってるときにひとり大声でいい声で歌ったら笑われたり。

空気読め、とか言われてね。
頑張ってる人を引きずり下ろそうとしちゃう人たちがいます。
自分は周りの目を気にしないで頑張ることができないのにね。
自分にはできない「上手に英語を読む」とか「上手に歌う」とか「そうなろうと努力する」とかが、なんでそんなにおかしいんだろうって思います。


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だけど体育とか運動会ではちょっと場合が変わってくる。
例えばサッカーの授業で一生懸命走らなかったり、運動会のリレーで頑張らなかったりしたら、怒る人たちがいるでしょ。
「おいちゃんと走れよお前ぇえ!」ってね。
英語の音読が好きな人と嫌いな人がいるように、運動だって好き嫌いがもちろんあるのに。

英語や音楽の授業では頑張ってると笑われるのに、体育では頑張ってないと怒られる。
これ変じゃない?
しかもこの笑う人たちと怒る人たちって、同じ集団である場合が多いです。

僕は中学生のころから、これが不思議で仕方なかった。
リレー頑張れっていうんだったら、音読も頑張れよって思ってた。
音読頑張らないんだったら、走るの苦手な人に文句言うなよって思ってた。
僕は幸い運動も苦手じゃなかったから怒られたこともないし、ある程度の空気は読めたから毎回笑われはしなかったけどね。
しなかったけど、でもあんまり好きな空気じゃありませんでした。


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これ、今ならもう少し理由が分かります。
実は「英語や音楽の授業では頑張ってると笑われる」のと「体育では頑張ってないと怒られる」っていうのは同じことです。

これは「みんなと同じでいろよ」っていうことなんです。
つまり「空気読め」ってことだよね。

 英語の音読みんな頑張ってない→だからお前も頑張るなよ
 リレーみんな頑張ってる→だからお前も頑張れよ

ということなんです。
なんだよそれって感じだけどね。

だから音楽だと頑張っちゃだめ、運動だと頑張らないとだめというわけではありません。
だってみんなが頑張る合唱コンクールでは頑張らないと怒られるでしょ。
野球部で「1人だけ」朝練毎日やって終わってからも20分かけてストレッチしてたら笑われるでしょ。
休み時間に「1人」勉強したり本を読んでてもなんか言われちゃうよね。
そのくせ受験時期になって勉強してなかったら「お前何やってんの?」って言われる。
みんなと同じじゃないと笑われたり、怒られたりするってことです。

なんだそれ。
でもそういう仕組みです。
だからもしクラス対抗英語音読コンクールがあったら、カタカナ英語で読むやつが怒られるはずです。


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変な世界です。
完全にどうでもいい世界。
だけど毎回笑われたり怒られたりするのも大変です。

空気読めっていうけど、こっちの空気も読めよって思うよね。
明らかに多数決の世界です。
少ない派は大変だね。

一番は「気にしないこと」がいいんだけど、それもなかなか難しいよね。
ずっと同じところで生活しているんだから、周りを気にして当然です。
空気読まなくていい!っていう人もいるけど、確かにそうなんだけど、じゃあ笑ったり怒ったりさせないでくれよって思うよね。
空気読まないせいでこっちは大変なんだよって。

空気はね、読める力は実は大切です。
相手が何を思ってるかを察知する能力っていうのかな。
体調不良で病院に行ったときに症状をうまく説明できなくても、お医者さんが全部分かってくれると助かるよね。

ただ、空気は読む力は大切だけど、従うかどうかは別の話です。
読んだら従えということではないからね。
「あ、ここで音読頑張ったら笑われるな」ここまでが空気を読むです。
その後実際にどうするかは自分次第。

自分を曲げないでほしい気持ちもあるけど、あんまりに辛かったら合わせたっていいです。
それは別に負けとかじゃないから。
いろいろ言われたりするのめんどくさいから、リレーくらい頑張っておこうかなって思ったって全然いいです。
それで自分がなくなるとか自分らしさが失われるとかそんなことはないからね。
辛かったら、ちょっと合わせておくっていう作戦も有効です。


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でも、もちろんやりたいこと、なりたいもの、信じてることがあるなら、それをやってください。
みんなね、中途半端に違うと馬鹿にするんだよ。
笑われても頑張った結果、プロ野球選手になったり会社を立ち上げたり人気お笑い芸人になったりしたら、誰も笑いません。
本当に信じてることがあるなら、周りの「空気読め」光線に負けないで。

ただ、周りはみんな敵というわけではありません。
仲良くしていれば「あいつが頑張りたいんだからいいじゃねえか」とか「できないもんは仕方ないだろ」とか言ってくれるようになります。
うまく仲良くしておくっていうのも作戦のひとつです。
それほど、周りから日常的に何かを言われたりするのは辛いと思うからね。

そしてもうひとつ。
いろいろ言ったり笑ったりしてくる人たちも、個人個人はいいやつなことが多いです。
一人ひとりと話してみると意外と仲良くなるみたいなこともあるかもしれないからね。
集団まるごとを憎まないほうがいいと思います。
まあ、集団の力を使うのはずるいけどさ。


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さっきも書いたけど「空気読まなくていい」って言うのは簡単だよね。
でも空気を読まずにそこで過ごすっていうのは結構力のいることです。大変だと思う。
だから空気読まなくていいとは思うけど、言えなかった。

学校を卒業しても「多数派の空気」っていうのはだいたい襲ってきます。
仕事についても、子供ができても、福祉施設に入ってもあると思う。

譲れないことが10あったら、本当に譲れない1個を決めて、それ以外は譲っちゃうのも手です。
リレーくらい頑張っとくっていうのもそういうこと。
だけどどうしても譲れない1が傷つけられそうになったら、環境を変えたり、なんとか工夫して持ちこたえてほしいと思っています。

僕は学校生活が嫌いだったわけじゃないけど、ああいう空気は苦手でした。
でも上に書いたようなことを誰とも話したことがなかったの。
君もそうだとしたら、同じこと思ってる人いんじゃんってちょっと安心してくれたらうれしいです。
こういうふうに思ってる人、実は少なくないからね。






by dekiyosite | 2017-05-08 22:28 | 雑談