本当はすぐに次のページ(通分のやつ)に行きたいんですが、その前に約分の注意点について扱います。
ここはとにかくミスが起きやすい。具体的にやってみましょう。
これを解いてみてください。
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どうかな。
上の問題は、実はこれ以上解けません。
ええ!?と思った人は、こんなふうに解いていたでしょ。
これは絶対やってはいけません。
どうしてか。解説します。
パソコンで分数が書けないのでどうしても画像が多くなります。拡大してじっくり読んでね。
分数の上が「+」や「-」のときには、2行目のように「分ける」ことができます。
分母の「8」は「2x」と「3y」の、両方の下にあるということ。
さっきダメ例だと「3y」の下の「8」を無視して約分してることになるでしょ。
だからだめなんです。
じゃあもっかい解説の画像を見てみよう。
2行目で分けた後に、約分できるほうを約分したら3行目で答えです。
気になることあるかな。
さっき「上の問題は、実はこれ以上解けません」って書いてたでしょ。
でもこの画像ではそれ以上解いちゃってるよね。
いや解いてんじゃん!って気づけてた人はなかなかいいです。
実はね、これはどっちも答えです。
1行目の長い分数の状態でも、分けて約分した3行目の状態でも、どちらでも答えです。
なんだそれ!って思われたところで、次の問題もちょっとやってみよう。
これはどうかな。さっきの「3y」が「4y」になっただけです。
はいはいどうせこれもこのままで答えでいいんでしょ。そうなんです。
と言いたいんだけど、これはまだ答えじゃないんだな。
なんでだろう。
「8」も「2x」も「4y」も(こういうのを「項」といいます)全部2の倍数だから「2」で割れるでしょ。
こういうときは「一気に」約分をしなくちゃいけないんです。
こういうふうにね。
僕の中学のときの先生は、こういうときに項を囲むとハートみたいになるから「ハートの法則」って言ってました。
ハートの法則は分かりやすくて結構使えます。
さらに、さっきと同じで「分けて約分」しても答えでOKです。
ごちゃごちゃしてきた?
いったん横並びでさっきの問題と一緒にまとめてみましょう。
解き方は2つあるということです。
① 長い分数のままなら「ハートの法則」が使えるなら使う
② 分けて約分はいつでも答え
の2パターンね。
ごちゃごちゃしてよく分からなかった人は、②のやり方ならいつでも答えになるから、毎回②でやるのがいいかな。
でもハートの法則も結構使えるんだよなー。
分子の項が3つ以上だとハートじゃなくなっちゃうけどね。でも使えるよ。
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じゃあこの問題はどうかな。
今度は分子が「かけ算」です。
このときの解き方はこう。
こっちでこれか!という感じでしょ?
この問題とさっきの問題が混ざってたから、今まで計算ミスが多かったんです。
でもなんでかけ算のときはハートの法則使わなくていいの?
そう思った人に解説を書きます。
もうやり方分かったからいいやって人は読まなくてもいいよ。
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解説!
たとえばこの分数について。
この分数を約分すると
となるよね。
ここで「8」をちょっと分解してみよう。
たとえば「8」は「2×4」でもあるから、こういうふうに式変形できます。
もしこの「2」も「4」も(さっきのハートの法則みたいに)両方とも約分したらどうなるか、やってみよう。
変なんなるでしょ?
でもこういうときもさっきみたいにちゃんと片方だけにすれば
って、ちゃんと答えになります。
前に
3.2.で
「かけ算わり算はひとかたまり」って書いたことがあるんだけど、かけ算わり算は「ひとつの数字」って思わないといけないんです。
「ひとつの数字」なのに、ハートの法則みたいに分けて考えちゃうと、2回以上約分してることになるから失敗する、ということでした。
ちょっとややこしかったかな。でもこれがかけ算にはハートの法則を使えない理由です。
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改めて2つのパターンを並べてみましょう。
(ちなみに「×(かける)」を少し小さめに書いてるのは「x(エックス)」との区別を付けるためです。こういう工夫でミスが少なくなるよ!)
2つの違いをちゃんと区別することが必要です。
それぞれもう、誰かに教えられるかな?
これを踏まえて4.3.と4.4.に進みます。
このページは演習問題なし!だけどものすごく大切なページでした。